日経平均先物と釣り人

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日経平均先物とは?

(2006年8月13日・日本経済新聞より)

「損切り」ルール きちんと実行
 将来の株価指数の動きを予想して投資するのが株価指数先物取引。個人が使いやすいよう取引単位を従来の日経平均先物の10分の1にした「ミニ日経平均先物(日経225mini)」が先月18日、大阪証券取引所に上場された。相場下落時の損失回避(ヘッジ)などに有効だが、投資額(証拠金)を大きく上回る取引になるだけに、リスクに十分注意したい。
 「先物は危ないとの先入観を持つ人が多いが、ヘッジなしに現物株だけを大量に持っている方が相場下落局面では損失が膨らむ」。カブドットコム証券マーケットアナリストの山田勉さんは株式先物の効用をこう説く。
 現物株は買いから取引を始めることしかできない。これに対し株式先物では、相場下落を予想した局面で売りからも始められる。差益を狙う投機目的だけではなく、保有資産のヘッジにも使える。
 例えば保有している株式投資信託や現物株をそのまま持ち続けたいが、短期的には相場下落が予想される場合、株式先物を売っておけばヘッジになる。相場下落で投信や保有株では含み損が発生するが、株式先物の買い戻しで利益が発生するからだ。

個人にも広がり
 取引に当たって「個別銘柄を選ぶ必要がない」(株式評論家の木村佳子さん)こともメリット。個別銘柄の取引では業績の変動や大株主の異動、さらに信用リスクにも目配りが欠かせない。株価先物は相場全体の動きだけ考えれば良いし、「指数の変動幅は個別銘柄より小さいので安心感もある」(山田さん)。
 こうした利点が個人にも知られ始め、従来の日経平均先物の委託取引のうち、個人の比率は18%強(7月)まで高まっていた。ただより少額で投資したいとの希望も多かったため、新たに登場したのがミニ日経平均先物だ。
 ミニ日経平均先物の証拠金の最低額は従来の日経平均先物の10分の1。大証の基準をもとに各証券が定めており、今は62000〜75000円程度が多い。この金額で150万円程度の取引ができるので、最大で20倍程度のレバレッジ(テコの原理)を効かせられる。
 指数を対象に売りから取引を始めるなど、株式先物の手法は株価指数連動型投信(ETF)を使った信用取引でも可能。しかし株式先物は信用取引に比べ、手数料などコストが比較的低い。ネット証券では取引1単位(1枚)の手数料は105〜210円程度だ。信用取引と違って、金利負担や貸株料も必要ない。
 信用売りには商いが過熱した際などに逆日歩(株を借りるための割増金利)が発生するリスクがあるが、株式先物にはないのも利点だ。
 取引期間は6カ月で、直近2限月(今は9月限と12月限)が取引されている。取引最終日(9月限の場合は9月7日)までに反対売買するか、その翌日に算出される特別清算指数(SQ値)で損益を確定する。
 実際にはどの程度使われているのか。大証によると、ミニ日経平均先物の取引高(7月18―31日)は日経平均先物の23%。当初は売買高が小さいのではと心配されていたが、そうした問題はなさそうだ。委託取引に占める個人の割合は8割を超え、個人中心となっている。
 今のところ使われ方は投機が中心とみられる。オリックス証券では約8割が同日中に反対売買している。
 それでも、相場が不安定な中でヘッジ目的の取引も徐々に増えている。「例えば株式投信を150万円ほど持っている個人の場合、ヘッジに使うには従来の株式先物は規模が大きすぎたが、ミニは利用しやすい」(生活設計塾クルー取締役の目黒政明さん)
 松井証券では7月中旬以降、買い建玉(未決済残高)の水準は横ばいなのに、売り建玉が増加傾向にある。「ミニ日経平均先物の登場で個人が売りヘッジをしやすくなったことを反映している」(マーケティング部)

「倍率」小さめで
 株式先物取引には注意点も多い。レバレッジを目いっぱい効かせて取引することは避けたい。少しでも予想と違った方向に相場が動けば、証拠金の追加差し入れ(追い証)を求められる。「追い証が繰り返されると精神的にも追い詰められる。通常は2〜3倍のレバレッジにとどめた方がよい」(目黒さん)との声も聞かれる。
 株式関係者はそろって「ヘッジか投機か取引目的を明確にするとともに、予想が外れた場合のロスカット(損切り)ルールを設けるべきだ」(木村さん)と指摘する。流れが予想と違ったのに取引を継続すると損失が膨らむため、早めの反対売買を勧める関係者が多い。
 もう一つ注意が必要なのは税制の問題。株式先物取引による利益は他の所得と分離して課税される。税率は20%で、損益通算が認められる対象は他の株価指数先物・オプション取引や商品先物取引に限られる。通常の株式や投信取引とは損益通算できない。

A:株式先物とETF信用取引の比較
日経平均先物 ミニ日経平均先物 ETF信用取引
取引単位 日経平均株価の1000倍
(約1500万円)
日経平均株価の100倍
(約150万円)
日経平均株価の10倍
(約15万円)
値段の刻み 10円 5円 10円
値段の刻み1つ
動いた場合の損益
1万円 500円 100円
取引1単位の証拠金 62〜75万円程度 62000〜75000円程度 5万円程度
最大レバレッジ効果 20倍前後 20倍前後 3倍程度
取引1単位の手数料 525〜1050円程度 105〜210円程度 315円程度
その他のコスト 売り方・買い方ともに
金利負担なし
売り方・買い方ともに
金利負担なし
売り方には貸株料(逆日歩が発生する場合も)、
買い方には金利負担あり
(注)取引1単位の証拠金や手数料は、個人投資家による株式先物取り次ぎが多いネット証券を参考にした

B:ミニ日経平均先物の取引例
ミニ日経平均先物の取引例
(手数料などは考慮せず)

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